休職・退職したら保険と年金はどうなる?手続き完全ガイド

社会保険・年金
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この記事は公的機関の情報をもとに執筆していますが、保険料の計算は居住地・収入・世帯構成により異なります。正確な金額や手続き方法は加入先の保険者・市区町村窓口・年金事務所にご確認ください。
制度内容は変更される場合があります。

「休職したとき、保険証ってそのまま使えるの?」「退職したら年金はどうすればいいの?」

そんな疑問、ちゃんと調べようと思いつつ、ただでさえしんどい時期に複雑な制度を調べるのはとても大変ですよね。

私自身が抑うつで休職したとき、保険の仕組みがよくわからないまま過ごしていました。
ある日、会社から「今月分の社会保険料を立て替えたので振り込んでください」という連絡が来て、無収入の状態でそれが地味に重くのしかかりました。
傷病手当金の振り込みまでは思ったより時間がかかるし、貯金は減るし、「どうしたらいいんだろう」と焦ってばかりでした。

「もっと早く、ちゃんと仕組みを知っていたら」——そう思ったから、この記事を書きました。

まず最初に知っておいてほしい大事なことがあります。
退職後に何も手続きしないと、無保険の空白期間ができてしまいます。
その間に病院へ行くと、医療費が10割全額自己負担になってしまうんです。

この記事では、休職中と退職後に分けて、保険・年金がどうなるのか、何をいつまでにすればよいかを、順番にわかりやすくお伝えしていきます。

この記事を読んでわかること

  • 休職中の社会保険はどうなるか(実は切り替え不要な理由)
  • 退職後に選べる健康保険3つの違い
  • 国保と任意継続、どっちが安いかの判断基準と概算イメージ
  • 退職後の年金手続き(期限・場所・必要書類)
  • 保険料が払えないときに使える免除・猶予制度

休職中の社会保険はどうなる?実は切り替え不要です

まずは「休職中」についてお伝えします。

休職中は雇用関係が続いているため、社会保険(健康保険・厚生年金)は何もしなくてもそのまま継続されます。
保険証も引き続き使えるので、国保への切り替えは必要ありません。

「給与がないのに保険証使えるの?」と思われるかもしれませんが、大丈夫です。
これが「退職前の休職」と「退職後」の大きな違いです。

給与がゼロでも保険料は発生します

注意していただきたいのは、休職中に給与が止まっても、健康保険料と厚生年金保険料は休職前と同じ金額がかかり続けるという点です。

「標準報酬月額」という基準で保険料が計算されているため、無給になっても金額は変わりません。
給与から天引きできなくなるため、多くの場合「会社が一旦立て替えて後から請求する」という形になります。

  • 雇用保険料: 給与が支払われない期間は発生しません
  • 健康保険料・厚生年金: 休職前と同額が発生し続けます
  • 住民税: 前年収入をもとに計算済みのものが、普通徴収(自分で支払う)に切り替わることが多いです

休職が決まったら、社会保険料の支払い方法について早めに会社の担当者に確認しておくと安心です。

退職後は14日以内に健康保険の手続きが必要です

退職すると、社会保険の資格は退職日の翌日に失われます。

ここがとても大切なポイントです。
何も手続きをしないまま放置していると、無保険の空白期間ができてしまいます。
その間に病院へ行くと、医療費は10割全額自己負担になってしまいます。
退職後の保険の手続きは義務でもあるので、忘れずに行いましょう。

手続きの期限は退職翌日から14日以内です(任意継続のみ20日以内)。

選べる選択肢は、以下の3つです。

選択肢 概要
① 国民健康保険(国保)に加入 居住市区町村の窓口で手続き
② 健康保険の任意継続 退職前の会社の健保を最長2年継続
③ 家族の扶養に入る 条件を満たせば保険料ゼロ

選択肢① 国民健康保険(国保)に加入する

自営業者や無職の方が加入する公的健康保険です。

  • 保険料の決まり方: 前年の所得・居住する市区町村・世帯人数で計算されます
  • 手続き先: 住民票のある市区町村の窓口、またはマイナポータル(オンライン申請も可)
  • 必要なもの: 健康保険資格喪失証明書(会社に発行してもらいます)、マイナンバーカード など
  • メリット: 退職後に収入が大幅に下がった場合、保険料も下がりやすいです。軽減制度もあります
  • デメリット: 扶養家族がいると、家族の人数分も保険料がかかります

選択肢② 健康保険の任意継続

退職前の職場の健康保険を、最長2年間継続できる制度です。
退職前に2ヶ月以上加入していた方が対象になります。

  • 保険料の決まり方: 退職時の標準報酬月額を基準に、全額を自己負担します(会社との折半はなくなります)
  • 手続き先: 加入していた健保組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 申請期限: 退職翌日から20日以内(この期限だけ国保と異なります。ご注意ください)
  • メリット: 健保組合の付加給付(出産一時金の上乗せなど)を継続できる場合があります
  • デメリット: これまで会社が半額を負担してくれていた分も全て自己負担になるため、単純に保険料が2倍近くになります

選択肢③ 家族の扶養に入る

配偶者や親が会社員で、その健康保険の扶養に入れる場合は、保険料ゼロで加入できます。

  • 収入要件の目安: 年収130万円未満(60歳以上・障害のある方は180万円未満)
  • 注意点: 失業給付(雇用保険の基本手当)を受け取る場合、給付日額によっては扶養に入れないことがあります。事前に確認しておくと安心です

国保と任意継続、結局どっちが安い?

比較項目 国民健康保険 任意継続
保険料の基準 前年所得・世帯人数・自治体 退職時の標準報酬月額
扶養家族の扱い 家族も人数分の保険料が発生 扶養家族がいても保険料は本人分のみ
手続き期限 退職翌日から14日以内 退職翌日から20日以内
最大加入期間 制限なし 最長2年間
安くなりやすいのは 退職後に収入が大幅に下がる場合 収入がそれほど変わらない場合

どちらが安いかは、個人の状況によって変わります。
ただ、退職後に無収入または収入が大幅に下がる場合は、国保の方が安くなるケースが多いです。

⚠ あくまで目安の金額イメージです(自治体・年齢・収入により大きく異なります)

たとえば、前年収入が400万円(東京都・単身・35歳)のケースでは、任意継続の保険料は月2〜3万円程度になることが多い一方、国保は前年所得と自治体の料率によって変わります。
退職後に収入がゼロになった場合、翌年度の国保保険料は大幅に下がることがあります。

正確な金額は、市区町村の窓口で試算してもらうのが一番確実です。
「実際にいくらになるか教えてほしい」と気軽に相談してみてください。

退職後の年金手続き:14日以内に国民年金へ切り替えを

退職すると、厚生年金の資格も失われます。
退職翌日から14日以内に、住民票のある市区町村の窓口で国民年金(第1号被保険者)への切り替え手続きを行いましょう。

  • 手続き先: 市区町村の窓口または年金事務所
  • 必要なもの: マイナンバーカード、年金手帳または基礎年金番号通知書、退職日を確認できる書類
  • 2025年度の国民年金保険料: 月額17,510円

手続きをしないまま放置するとどうなる?

未納期間が発生してしまい、将来受け取れる老齢年金の額が減ってしまいます。
さらに、万が一のときに受け取れるはずだった障害年金の受給資格にも影響が出る可能性があります。

なお、「転職先がすぐに決まっていて、退職翌日から入社する場合」は、新しい会社が厚生年金の加入手続きをしてくれるため、自分での手続きは不要です。
退職〜入社の間に空白期間がある場合だけ、自分で手続きが必要になります。

保険料が払えないときは「免除・猶予制度」を活用しましょう

無収入・低収入の状態で月額17,510円の保険料は、正直かなり重いですよね。
そんなときに頼れるのが国民年金保険料の免除・納付猶予制度です。

退職後は「失業等による特例免除」という制度が使えます。
通常の免除は前年の所得が審査基準になりますが、この特例は退職した事実があれば前年所得に関わらず申請できるのが最大のポイントです。

制度の種類 内容 将来の年金への影響
全額免除 保険料がゼロになります 一部反映されます(未納よりも多くなります)
4分の3免除 4分の1を自己負担 免除割合に応じて反映
半額免除 半額を自己負担 免除割合に応じて反映
4分の1免除 4分の3を自己負担 免除割合に応じて反映
納付猶予(50歳未満) 支払いを先送りにできます 受給資格には算入されます(金額への反映はなし)

免除された期間は「未納」ではなく、受給資格期間にきちんと算入されます。
払えないからといって放置(未納)にするのだけは避けてほしいです。
免除申請をすることで、将来の年金を守ることができます。

申請先は、住民票のある市区町村の窓口または年金事務所です。

2024年12月〜マイナ保険証の利用が基本になっています

2024年12月2日以降、従来の紙の健康保険証は新規発行されなくなりました。
退職後に国保や任意継続に切り替えても、新しい紙の保険証は届きません。

マイナンバーカードに健康保険証の機能を紐付けた「マイナ保険証」が基本となっているため、マイナポータルで利用登録を事前に済ませておくと、切り替え後もスムーズに医療機関を受診できます。
まだ登録していない方は、この機会に確認しておきましょう。

手続きのタイムラインをまとめると

手続きのタイムライン
  • 休職中
    休職中(在籍期間中)
    • 社会保険は継続されます(保険証はそのまま使えます)
    • 無給でも健康保険料・厚生年金保険料は発生します
      →支払い方法を会社と早めに確認しましょう
    • 住民税の普通徴収への切り替えにも注意が必要です
  • 退職翌日
    退職翌日から14日以内
    • 国民健康保険の加入手続き(市区町村窓口またはマイナポータル)
    • 国民年金の切り替え手続き(市区町村窓口または年金事務所)
    • 国保保険料が払えない場合は、軽減・免除申請も同時に相談してみてください
  • 20日以内
    退職翌日から20日以内(任意継続を選ぶ場合)
    • 任意継続の申請(加入していた健保組合または協会けんぽ)

同時に検討しておきたいこと

  • 国民年金の免除・猶予制度の申請(特例免除は退職後すぐに申請できます)
  • マイナ保険証の利用登録(マイナポータルから確認できます)

よくある質問

Q
退職後に保険証はいつまで使えるの?
A

退職日の翌日から使えなくなります。
退職日当日に保険証を使って受診することは問題ありませんが、翌日以降は旧保険証では診療を受けられなくなります。
できるだけ早く新しい保険の手続きをしておくと安心です。

Q
退職後に年金の手続きをしなかったらどうなる?
A

未納扱いとなってしまい、将来の老齢年金の受給額が減ってしまいます。
また、障害年金の受給資格にも影響が出る可能性があります。
気づいたときに遡って申請・納付することは2年以内であれば可能ですので、早めに対応してください。

Q
傷病手当金をもらっているとき、退職後も受け取り続けられる?
A

条件を満たせば受け取り続けることができます。
主な条件は「退職日時点で健保の被保険者期間が1年以上あること」「退職日に労務不能の状態であること」「退職日に出勤していないこと」の3つです。
退職前に会社や健保に確認しておくと、手続きがスムーズになります。

Q
国保と任意継続は途中で切り替えられる?
A

できます。
2022年1月以降、任意継続から国保への任意の脱退が可能になりました。
申請した月の翌月から国保に切り替えることができます。
家計の状況が変わった場合などに、途中からの変更を検討してみてください。

まとめ:「退職翌日から14日以内」だけ、まず覚えておいてください

休職中は保険証もそのまま使えます。
ただ、退職後は自分で動かなければならないことが一気に増えます。

特に「退職翌日から14日以内」という期限を見逃してしまうと、無保険の空白期間ができて医療費が全額自己負担になるリスクがあります。
しんどい時期に手続きをするのは本当に大変だと思いますが、まずここだけ覚えておいてください。

保険料が払えないときは、放置せずに免除申請を使いましょう。
制度はあなたの味方です。
一人で抱え込まず、窓口に相談しながら進めていけると安心です。


傷病手当金の金額計算や申請方法をもっと詳しく知りたい方はこちら:
[傷病手当金の計算方法・いくらもらえる?期間・条件も解説]

抑うつで休職したときに最初にやるべき手続きをまとめた記事はこちら:
[抑うつで休職したら最初にやる5つの手続き]


参考資料

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